ムツボシくんの山城全盲物語
むつぼしくんが飛行機に乗っている画像
2025年12月16日
醍醐寺の紅葉狩り、全盲者が案内
 ハーイ!ムツボシくんです。秀吉の花見で有名な桜の名所、醍醐寺。実は紅葉の名所でもあります。先日、全盲のムツボシくんが見える人を案内してきました。

 ‘えっ?見えない人が案内…?’と思われることでしょうね。そこはあなた、ここまで口まかせで生きてきたムツボシくん。巧みなおしゃべり(?)とこの点図の地図あってのことです。

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点図で作成した醍醐寺境内図


 この点字の地図さえあれば、手引きしてもらいつつも「はい、この右手が金堂です。2月23日には男150キロ、女90キロものお餅を持ち上げる奉納餅上げ大会があるんですよ」なんてね、話をコロコロころがせるのです。

 さて、今回のメインは醍醐寺の紅葉!醍醐道から惣門→仁王門→日月門と境内を奥へとすすむとこの風景が広がります。

写真2
日月門前の紅葉、ここから先が見事!

写真3
池の水面に映る弁天堂と紅葉

写真4
さらに奥にはこの無量寿苑の紅葉

 見えないムツボシくんは「わあー!」とか「きれい!」という声を聞きながらイメージの中で、紅や黄の赤ちゃんの手のひらにクロモジやドウダンツツジの葉を重ねたりずらせたりして深まる秋の時を共有したのでありました。

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お休処「寿庵」昭和初期の窓硝子越しの秋
2025年9月19日 
あなたならこの重要文化財のウサギちゃんたち、見えない人にどう伝えますか?(後編)
 ハーイ!ムツボシくんです。前回の続きとなります。大覚寺の「野兎図」の点図化の話です。前編では原図@を点図化しました。引き続き「野兎図」の原図AとBの点図化のための工夫を見ていきましょう。

点図2
A前後で重なる野兎2羽の点図化  

どこに兎が何羽いるのか。また、そのポーズを素早く触認知するにはどうするのか。そのための工夫として、ここでは(ア)(イ)の記号の付加を行いました。本図では、記号は必ず兎の耳の先につけています。このルールにより、触読者はまず記号を探し、そこから兎の耳を探し出せます。そして、兎のイメージ造のための線たどりが始まるのです。この図では(ア)(イ)の記号が触読の入り口となるのです。  (ア)の兎(黒)は目玉が一つ。前後とも足先のみが左側面の片側にしか見えていません。そして胴が丸い。この胴はお尻でしょう。ここからこの兎はほぼ後ろを向いており、左から振り返るように首を後ろにひねっているポーズであることがわかります。この兎の右にいるのが(イ)の兎(茶)です。記号(イ)から指を下げ、耳を探し目を見つけると目玉は2個。でも、前後の足は右側面にしかのぞいていません。そして、胴の輪郭をたどってみると(ア)の兎にぶつかる部分で、(イ)の胴の輪郭は切れているのです(青矢印部分)。この切れている(イ)の兎の輪郭の先の部分こそが(ア)の兎の丸いお尻の裏に隠れてしまっているのです。点図では、奥に隠されるものの輪郭を、手前にあって隠す側の輪郭から少し離して描くようにすることで、奥のものと手前のものとは別々のものであることをわかりやすくするのです。この(イ)の兎は右向きに横たわり両目が見えるほど首をこちらに向けていることになります。つまりは、(ア)も(イ)も2羽ともにこちらを向いているのです。

点図3
B思い思いのポーズで重なる野兎5羽の点図化  

ここまでの技法を理解し触り方に習熟すると、この複雑に兎たちが重なり合う5羽のポーズも指から見えてくることでしょう。ここでも5羽の兎には(ア)〜(オ)の記号を耳の上につけることとします。触る順序は(ア)から(オ)の順です。目玉の数と耳の向きなどから横向きか前向きかがわかります。特に注意したいのが(オ)の兎。(オ)は記号の上に耳先がきており、大きく首を下から上に回して空を見上げているポーズのようです。  では、(ア)の兎から順に見ていきましょう。(ア)の兎(黒)は輪郭線が切れておらず他の兎に比べて大きく描かれます。ここから(ア)の兎が画面の最前に位置していることがわかります。前後の足を気持ちよく伸ばしてうたた寝でもしているのか、目の位置には目玉は見えません。目の位置には、目を閉じた横線のみが見られます。次に、(ア)の上の(イ)の兎(茶)ですが、右向きで手足が見えず、(ア)の兎より奥にいることがわかります。そして、この(イ)の兎よりもさらに右側の奥にいて前を向いているのが(ウ)の兎(白)です。反対に(イ)の左奥側には(エ)の兎(黒と白と茶の斑)が右向きで描かれていますが、鼻先や手足は(イ)の兎に隠れてしまっています。最後にこの(エ)の兎よりもさらに奥にいるのが画面左端の(オ)の兎(薄茶)です。さらに、(ア)から(オ)の5羽の輪郭線が触覚的に隣の兎と混じらないように、(ア)(イ)(オ)の3羽の輪郭線だけは他の兎よりも太い線を用いるという工夫を加えています。  いかがでしたか?長文失礼しました。ここで紹介した「野兎図」の実際の点図やここ大覚寺の境内図がほしい方、またパソコンで点図を描くためのフリーソフトの情報について知りたい方など、気になることがございましたらこちらまで気軽にメール連絡をしてください。

[参考サイト]
○お堂エリアのご案内/旧嵯峨御所大本山大覚寺  https://www.daikakuji.or.jp/precincts/
○江戸の動物画事情(6) 渡辺始興「兎図障子腰板」(12面のうち2面)/日本経済新聞  https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD246IV0U3A220C2000000/
○野兎図 渡辺始興筆 大覚寺の写真素材/PIXTA  https://pixta.jp/photo/2603337
2025年9月16日
あなたならこの重要文化財のウサギちゃんたち、見えない人にどう伝えますか?(前編)
 ハーイ!ムツボシくんです。見えない人に絵をどのようにして伝えるのか?今回もこれがテーマです。京都の中、手でみる旅をしていると障壁画や襖絵などの名品に出会うものなのです。その都度、ムツボシくんは悔しい思いをしてきました。でも、どんなに言葉を駆使して説明されても見えない人にはなかなか絵のイメージがわきません。先日、特別公開が行われていた大覚寺(京都市)を訪れたムツボシくん。

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御影堂で平和を願うムツボシくん。五色の布は勅封心経殿につながっている  


このときもそうでした。あなたなら、この「野兎図」を見えない人にどのようにして伝えますか。

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大覚寺正寝殿と腰障子の板絵「野兎図」(重文)  


「野兎図」の概要はこうです。『野兎図』(1734年作、重文)とは、大覚寺(京都市)の正寝殿の屋内縁側(入側縁)を飾るために渡辺始興が腰障子に描いた板絵です。様々なポーズ・表情をした計19羽の野兎が12面に描き分けられています。また、兎とともに細い葉もリズミカルに配置されており、全体が華やかな印象となっていると評されているようです。この図は、12歳で大覚寺に入った卯年生まれの門跡(第41世門跡寛深)を慰めるために描かれたものだとされています。  さて、見えない人にどんな言葉で重文のウサギちゃんたちのこと伝えますか。ポーズのみなら、実際に身振りをしてもらう、というのはよいアイディアです。ただ、ウサギちゃんの形や配置などは伝わりません。ここはどうしても見えない人にも絵による説明が必用となるのです。‘点図’の登場です。点図とは、点字の凸点を線として絵を描くものです。ただ、原図通りに線をトレースしたものが‘よい点図’とはいえないのです。指の解像度は目の解像度の何千倍も劣るのです。見えるものを見えるままにすべてを凸線にしても指では判別できません。簡略化したり省略したり本質を逃さないデフォルメが必用となります。指で絵の線をたどりながら頭にその絵をイメージできるように点図を作るには触読の特性をよく理解する必用があります。絵の線を点図化するにはいくつものコツがあるのです。  【点図化にあたってのポイント】 指でこの図の兎のポーズが読み取れるようにするにはどんな工夫が必要でしょうか。ここで大切なのは、「兎とはどのような姿なのかがわかるように部分的な簡略や省略を行いつつ‘典型敵な兎’」のイメージをまずつけること」「図が重なっている表現(兎と草の重なり、兎同士の重なり)が多く見られるので、重なっている部分の表現が触読者にも伝わる工夫が必要であること」「兎のポーズが触覚的に強調されるように簡略化の工夫と、触る順番を指示するための記号の付加の工夫をすること」の3点となります。そこで、全12面の中から次の3面を選び@からBへと順に触ることで理解が深まるようにしました。

原図1
@草の葉の中の野兎1羽

原図2
A前後で重なる野兎2羽

原図3
B思い思いのポーズで重なる野兎5羽  

【点図化のための技法】 この@〜Bの原図を実際に点図化したものが点図1〜点図3となります(原図AとBの点図化については後編)。それでは、それぞれにこめた点図化のための技法を紹介しつつ、指による点図の読み方について解説します。

点図1
@草の葉の中の野兎1羽を点図化  

まず、点図3枚における共通の簡略化ですが、実際は薄の葉のような形で描かれている草の葉(緑)はその数を減らし、葉の表現も1本の点線として簡略化しました。点線としたことで兎の輪郭線と混同しなくなります。この他、兎の輪郭がわかりにくくなる葉や兎の背中の模様などは省略しています。  この図では、この草の葉が1箇所のみ兎(白)と重なっています。兎の耳の後ろのあたりです。この重なりにより、草の中に兎はいることがわかります。次に、兎の輪郭線を一回りたどってみましょう。「兎とは耳の長い動物だ」という言語理解しか兎のイメージを持たない者にとってもこの図において耳がどこかはおそらくわかるでしょう。次に、長い耳と目玉の位置とそれらの数に着目します。これにより、兎はどっちを向いているのかがわかるからです。目玉が一つしか描かれていないのだから横顔です。横向きの場合、目玉の位置に対して耳のある方が後ろ側となり、耳のない方が鼻先となります。同様に兎の前足2本と後ろ足2本、短い尻尾の位置も確認していきます。手前側の足には見られないのですが、奥側の前足先と後ろ足先にはそれぞれ兎の胴体の輪郭線が足に重なる部分に線が入っています(青矢印部分)。この奥側の足先の描き方は胴に隠れて足の先しか見えていないことを表現した見える人用の絵の技法です。つまり、兎の視覚的イメージの残像を持たない触読者に対しては、見える人には当たり前となっている絵の技法一つ一つを一から伝えることも視覚障害教育の大きな課題となってくるのです。[後編に続く
2025年4月17日
国宝「風神雷神図」、その構図を見えない人に伝える工夫とは…
ハーイ!ムツボシくんです。まずはこの写真を見てください。あなたなら、この絵の構図を、見えない人にわかってもらうためにどんな工夫を考えますか?

写真1
国宝「風神雷神図屏風」(京博POST CARD)

【全体→部分へ、構図を言葉で説明】 まずは言葉による説明が考えられます。そしてそれは必用です。ただ、見えない人の頭の中に構図イメージが順々に組み立てられていくように言葉だけを用いて説明をするのは少し練習が必用かもしれませんね。そのコツは「全体から部分へ」です。こんな感じです。まずは全体の説明からです。  

俵屋宗達作のこの図は、中心から左右1対に分離する屏風に描かれている。全面が金箔で風景は一切描かれていない。右側に描かれている鬼が風をつかさどる「風神」(緑色)、左側に描かれている鬼が雷をつかさどる「雷神」(白色)でいずれも黒や灰色の濃淡で描かれた雲に包まれてポーズをとっている。風神も雷神も上半身は裸で下半身のみに「裳(も)」という衣装をつけている。風神・雷神ともに、鬼が肩から足下にたらした「天衣(てんね)」という細い布が風にたなびく様子が画面の右側に描かれ、強い風が左から右へ吹いていることがわかる。では、次からは右側の風神の図について説明する…(省略)
 
いかがですか?なんとなく全体の構図は伝わりそうですか。もっと適切な説明(文章)もみなさんならきっと思いつきそうですね。これに続けて、風神図・雷神図の順にそれぞれをまた全体から部分に向けて説明をしていくのです。

 【絵画の線は言葉では伝わらない→触れる図が必用】 どんなに巧みな言葉の説明でも残念ながら伝わらないものが世の中にはあります。描かれた形などがそれです。「絵の線をそのまま膨らませて触れるようにしたらいいじゃないか!」という人もいるでしょう。ただ、目で見る形と指で触ることができる形とは大きく異なるのです。なぜかというと、指では細かな部分が読み取れないのです。だから、指で触ってある程度形をイメージできる点図(点字の凸点で線を引いた図)にするには、かなりのデフォルメや本質のみが伝わるように部分の省略が求められるのです。

 【絵画を点図にするための工夫】 それでは実際に風神雷神図を点図にしてみましょう。

 (1) どこを点字の凸点の線で描いて、どこは描かないのかを考えます。例えば鬼の顔といえばとがった耳、釣り上がった眼、2本の牙が決まり事です。でも点図では描ききれません。ツノを強調し目・鼻・口の位置だけでもわかるようにします。鬼の手足の5本の指や爪などはもちろん省略。衣装の絵柄も省かざるを得ません。

 (2) 形をつかむための‘触覚の入り口’に目立つ触感を配置します。触覚者は得体の知れない物を触る時は常に「ピン!」とくる部分を探しています。ピンとくる部分とは、そこから順々に触り広げていくと頭の中にイメージも広がっていく‘触覚の入り口’といえる部分のことです。「ここが頭としたら…」「となると近くにツノらしいものがあるはず」。そうなると「きっとこの下に目が2つあるはず」と目らしい点を探すものです。目が見つかれば、鼻や口の線も探してみます。こうして顔のイメージを順々に広げていきます。この場合、‘触覚の入り口’は「頭」となり、点図では「頭」が目立つように髪の毛の部分を点で塗りつぶして、ここを目立つようにします。また、風神雷神図では、鬼のポーズが伝わるように、手と足がどこに描かれているのかがわかるように、手と足の部分のみ点間隔の異なる点線にして強調しています。このように手と足を‘触覚の入り口’として、その位置から体幹部分へと触りを広げていくとわかりやすいのです。  それでは、風神図を見えない人に伝えてみましょう。写真の点図を作成してみました。説明の順番も大切です。

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風神図(屏風の右側の図)を点図で表現してみると…  

図全体を見ると、上側を除き、外周を点線で枠取られている線がある。これが雲の輪郭となる。この雲の内側に風神が乗っている。図の上側の丸いものは「風袋(かざぶくろ)」といわれる風を作り出す袋である。風神はこの風袋を肩にかついでいる。風袋を外縁にそって触っていくと、小さい点の点線で描かれた手が袋の口をしっかり握っているのが左右ともにわかる。横に「テ」と点字があるので参考にしてほしい。  次に風神の顔を見てみよう。風袋の下に続く塗りつぶした部分が鬼の髪の毛となる。髪の毛の中には、とがった上向き三角の鬼のツノが1本認められる。鬼はやや左を向いているため、もう1本のツノは隠れているようだ。やや左を向いた顔のため、まゆ、目玉、鼻、口の部品はいずれも向かって左に寄せられている。大きめの左右にならぶ二つの点を見つけてほしい。それが鬼の目玉となる。  顔の下では胴体には、胸の位置に「ムネ」という文字を入れた。その下に丸く描かれたヘソがある。さらにその下に左に駆け出すように股を広げた足がある。足首より先の輪郭は点線にしておいた。また、つま先側に点字で「アシ」と入れてあるので足の向きも確認してほしい。  最後に、「天衣」とよばれる細い布だが、上側の風袋の右側面からさらに右へと2本たなびいているのがわかる。この布は、鬼の肩にも巻き付き(点図では向かって左の肩の布は省略)、向かって右の腕の裏でもたなびく布が見つけられる。

次に屏風左側の「雷神図」はどうなるのか?です。

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雷神図(屏風の左側の図)を点図で表現してみると

 図全体の周囲には、風神図と同様、雲の輪郭をしめす点線があり、その雲に見え隠れするように「連鼓(れんづつみ)」といわれる丸い雷太鼓がつながり雷神を取り巻いている。雷神はこの太鼓をバチでたたき、雷を地上に落としているとされた。  まず、雷神の顔を見てみよう。図の中心で塗りつぶされた部分が鬼の髪の毛となる。髪の毛の中には、とがった上向き三角の鬼のツノが2本ある。やや向かって右を向き、下を見ている顔には、まゆ、目玉、鼻、口があり、少し右に寄せて描かれている。大きめの左右にならぶ二つの点を見つけてほしい。それが鬼の目玉となる。  顔の下の胴体には「ムネ」と書かれた位置の下に丸いヘソがある。胴体の左右には腕があり手にはバチを持っている。バチは横の線で塗りつぶし「バチ」の点字を横につけた。バチの真ん中を握る鬼の手を点線で表しておいた。「テ」という点字をさがしてそこからバチを見つけてもよい。左右に広がった足は足首より下の輪郭のみを点線とし、つま先側に「アシ」と点字を入れておいた。  最後に、「天衣」とよばれる細い布だが、右上に向かって長くたなびいている布がそれである。この布は、鬼の肩にも巻き付き(点図では向かって左の肩の布は省略)、向かって右の腕の裏でもたなびく布が見つけられる。

 ※なお、この記事を読んで「風神雷神図」の点図を実際に触れてみたい人はムツボシくんまでメール連絡をしてください。
2025年2月8日
懸想文売りに出会える須賀神社の節分祭
 ハーイ!ムツボシくんです。冬の京都を楽しみたいのなら、節分の日を狙うというのはどうでしょう。京都の寺社では福引き券付きの豆まきをしているところが多くあります。まずは豆まきに参加し景品付きの福豆をゲットしてみるというのは…。見えなくても小袋に入った豆をいかにゲットするか?その基本は足下に注意を注ぐことです。飛んでくる豆をつかもうとしてもだめです。見えていないのだから。それよりも落ちる豆の音を狙って最初から低くかがみ姿勢で待っていることです。

 また、鬼たちが現れて小芝居をしてくれるところもあります。運が良ければ境内をうろつく鬼たちに触れさせてもらったり、写真を撮らせてもらったりも可能です。

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例えばこちらは藤森神社の鬼タチの小芝居

 
 さて、今回ムツボシくんが訪れたのがここ須賀神社。様々な節分の行事が各寺社で行われている中、須賀神社にしか現れないモノに出会うためでした。

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須賀神社の豆まき祭。ムツボシくんもちゃっかりゲット。ただ福引きはハズレ!



 みなさんは、懸想文売りをご存じですか?懸想文とは恋文のこと。江戸時代の風俗行事として、ここ京都には、恋文を代筆してくれる懸想文売りが町々に現れる日があったようです。おもに下級貴族たちの内職のひとつなんでしょうか、代書屋さんですね。烏帽子水干姿で梅の木に文をつけ、ふく面をして売り歩いたと言われています。懸想文を人知れず鏡台や箪笥の引き出しに入れておくと、顔かたちが美しくなり着物が増え良縁があるというのでした。懸想文の名からして恋文のみを連想しちゃいますが、縁談や商売繁盛など人々の欲望を叶える札にも変化していったのでしょう。そして、いったん途絶えたこの懸想文売りを復活させたのが須賀神社なのです。

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懸想文売りに質問をしているムツボシくん



 気になるのが懸想文の中身?いまでは干支にちなんだお守りとなっているようです。

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畳紙につつまれた懸想文を開けてみました!



 「白き身体をくねらせて、旧き肌をば脱ぎ捨てむ。我が歳なるぞこの年は甦り変革の時、旅立ち祈る」なんて、書かれており、今年は脱皮する白蛇から‘変革する力’をムツボシくんもいただけそうです。

 いただけると言えば、この節分の日しか須賀神社でいただけないものがもう一つあります。それがこちらの‘須賀多餅’。これはなかなかのお味でした!

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梅餡と柚子餡の2種類の須賀多餅
2025年1月15日
ネットにだまされたムツボシくん、若一神社に七草粥接待はなかった…!
 ハーイ!ムツボシくんです。1月7日を前に「七草粥の無料接待がある神社、そう言えばあったんじゃなかったっけ?」とネットを調べて見つけたのが若一神社。そのネット記事によりますと、「1月7日に七草粥の無料接待が行われます!(中略)家族、友人、カップルなどでもぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。それでは「若一神社 七草粥接待2025」へ行こうと思っている方のために、詳細をわかりやすくまとめました。」
となんともたのもしい記事ではありませんか。「若一神社(京都市)の七草粥接待2025の日程と駐車場は?無料?」とあります。もう、出かけるしかありませんね。


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JR西大路駅から北へ徒歩5分の若一神社


 若一神社と言えば「開運出世」のご利益で有名。平清盛が熊野詣でに参った時のおつげ通りに、この地で土の中に隠れている「若一王子(熊野権現の第一王子)」の御神体を発見し、社を建てて祀ったのが若一神社の始まり。そしてその翌年、清盛は太政大臣に任ぜられ平氏も栄えたのでした。また、境内には、西大路通にはみ出す巨大な楠があります。

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市内随一の大楠が西大路通にはみ出している


 この楠は、平清盛のお手植えとされる樹齢800年を超える市内随一の大きさです。以後若一神社の御神木です。

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大楠の下には楠社が祀られている


 よって、昔からこの木を切ろうとしたり植え替えたりする人を祟り続けてきたと言います。昭和初期の市電工事に際しても工事関係者に不幸が続出。そこで、四方に大きく張り出していた根っこを切ったものの移し替えることは断念!西大路通の方が曲げられました。宮司いわく、「まるで植木鉢の大楠」の完成です。

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大楠の周囲は石で囲まれまるで植木鉢の大樹


 さてさて、大切なのは七草粥であります。遅くとも11時にはお接待が始まると踏んだムツボシくん。待つこと30分、ようやく現れた宮司さんに「あのう、七草粥はまもなくですか?」と、すかさず宮司さん、「ああ、10年も前からやっていませんよ。」ですって…!「えっ?でもネットに…」とはさすがに言えず口をポカンと開けていると「家内も亡くなってね。お手伝いいただく方も高齢でね…」。

 「まあ、ここにお掛けなさい」と床几を拭いてくださる宮司さん。「あの大楠がどうしても植木鉢に見えてしまってね」。拭き掃除の手を止めていろいろと説明をしてくださる声に、忌ま忌ましさが少しにじむのを聞き取ったムツボシくんでありました。

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真っ赤なウソだったこの記事こそ忌ま忌ましい!なにが目的なの?

[参考サイト]
○若一神社(公式)
 http://www.kyoto-jinjacho.or.jp/shrine/05/010/
○若一神社(京都市)の七草粥接待2025の日程と駐車場は?無料? |/かくれKYOTO
https://kakure-kyoto.com/kyotoshi/7237/