ムツボシくんの山城全盲物語
むつぼしくんが飛行機に乗っている画像
2026年4月14日
触る文化にもある‘図’の世界〜点図ボランティア養成講習会をムツボシくんが開催
ハーイ!ムツボシくんです。先月、彦根の滋賀県立視覚障害者センターにて「点図ボランティア養成講習会(全5回)」を開きました。

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点図ボランティア養成講習会(彦根市)の様子(2026年3月)


 見えない人の文字が「点字」、そして見えない人のための図が「点図」です。今はWindowsパソコンと点字プリンタがあれば容易に点図が描けるのです。

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点図ソフト「エーデル」で描いた図を点字プリンタで打ち出している


 「観光客ナンバーワンの清水寺ってどんな所?」「西松屋のロゴってウサギちゃんって聞いたけどかわいいの?」、みなさんは見えない人からこのような質問を受けたらどう答えますか?

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清水寺の境内図と西松屋のロゴ、あなたなら見えない人に言葉でどのように説明しますか?


 私たちへの情報提供はこれまで点字にする「点訳」と朗読をする「音訳」が支援内容の中心となってきました。それでは、先の2つの質問に対して、従来通りの点字や声での説明は支援としてどれだけ有効でしょうか。試しに「有名な清水寺の舞台の場所を言葉で説明してみてください」。見える人ならすぐにスマホで検索!画面を見て答えにたどり着けるのです。見えない人はどうでしょう?

 全国的にみても、いまだに点字図書館をはじめとする視覚障害者への情報提供施設の多くが、地図やイラストといった図版類の情報はほとんど提供できずにいるのではないでしょうか。それは点図で情報を提供してくれる点図ボランティアが身近におられないからです。見えない人が、図版類の情報を入手できるかどうかは、見えない人の外出意欲の醸成と関わります。見えない人の多くはご自分のおうちの形すら知らずに住んでいるのです。おうちの周りの地図に触れた人も皆無でしょう。ムツボシくんもいつか点図のグルメマップに触れながらの京都の食べ歩き、してみたいものです。

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この点図があれば清水寺境内の伽藍配置も、西松屋のウサギちゃんもわかる!



 そこで、今回の点図ボランティア養成講習会の開催となったのでした。全5回の卒業課題作品はこちら!大河ドラマ「豊臣兄弟」でも賑わう長浜城周辺図の点図化でした。
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左の長浜城周辺図を点図にすると右の点図となる!


【受講されたみなさんからのいくつかの感想をここに記録しておきます】
 「中身の濃ーい講座で、頭がパンクしそうになりながらもなんとか受講することができました。」
 「実践的で、先生の熱意が伝わる「熱い」講座で、全力で取り組もうと思う講座でした。」
 「聞きっぱなしではなく、課題を出していただくことで復習することができました。」
 「点図にする際に、何を伝えるのが必要なのか、どうすれば正確に表せるのかを考えながら作成しなければいけないと思いました。」
 「私は彦根に住んでいますので、ぜひ彦根城の地図にも挑戦したいと思っています。」
 「点図ソフトの扱い方にはだいぶ慣れましたが、触図の観点からの工夫が大変難しいと感じました。」
 「先生の講義、大変楽しく、点図の必要性がぐいぐい伝わってきて、頑張らないといけないなあと思いました。」
 「このまま終わらずに、続けていきたいと思います。」
 「エーデルで作った点図と、実際触った図との違いが大きく、出来上がりをイメージして作業することの難しさを知りました。」

○参考サイト
滋賀県立視覚障害者センター(彦根市)
 https://shigashisho.com/
点図が描けるソフト「エーデル」の部屋
 https://www7a.biglobe.ne.jp/~EDEL-plus/EdelDownLoad2.html
2026年3月27日
多目的トイレって見えない人を排除してもいいの?
ハーイ!ムツボシくんです。これは京都・河原町三条のある映画館のお話。多目的トイレに入ったものの、全盲者のムツボシくん、ひとりでは用を足せなかったというお話です。

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問題の多目的トイレ、ドアを開けるボタンは見つかったのですが…

 中に入ったもののこのドア、閉め方がわかりません。私の経験から、「閉めるボタンがきっとどこかにあるはず!」。ドア周辺の壁を手探りするも見つからない。こうなれば力づくでドアを閉めようとするもドアは全く動かず。いやあ、困りました。ドアが閉まらないのです。開いたままで用は足せません。あきらめるのはまだ早い。再度周辺の壁を探索…。すると突然、ブーン!という音とともに開いていたドアが閉まっていったのです。なぜ閉まったの?でも、このチャンスを逃すわけにはいきません。急いでまずは用を済ませました。そして、三度目の探索開始!今度はドアが開かないと家に帰れません。これはいよいよ非常ボタンを押さなきゃいけないの?その時、またしても偶然ドアが開いたのでした。
 後日、この映画館に見える人を連れて再訪。ようやくドア開閉の仕組みを知りました。

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トイレ内での開閉操作は手をかざすセンサー方式だった

 見える人のためにちゃんと使い方説明が丁寧に書いてあるんですって!
 [開錠]入るときは左側のボタンを押してください(自動と書かれた丸いボタンを一回押してください)。
 【施錠】鍵を閉めるときはこちらのセンサーに手をかざしてください(手をかざしていただくと施錠中と点灯しロックされます)。センサーに手をかざさないと鍵が掛かりませんのでご注意ください。お手間をおかけしますが何とぞよろしくお願いします。
 ムツボシくん、あきれてものが言えません!昔はこのタイプのトイレは「身障者用トイレ」といわれていました。いまは多目的トイレと呼び名が変わりました。障害がなくてもこのような個室が必要な状況の方なら誰でも使えるようになりました。ただ、この間に、私たち見えない者がここを利用するなんてことは忘れ去られてしまったようです。
※3月26日現在、障害者差別解消法に関する総合的な窓口「京都市専門相談員(障害保健福祉推進室)」にムツボシくんは相談中です。
2026年2月8日
点図をもって節分の京都を静かに楽しむならこのエリア
 ハーイ!ムツボシくんです。昨年の節分では聖護院と須賀神社で左右前後に押されてもまれてグッタリ!豆ひとつもゲットできなかったムツボシくん。今年は点図を持って出かけるのにピッタリの人出の少ない、まだまだ穴場の節分が楽しめるエリアを見つけました。次の点図の青のラインに注目!平野神社から千本ゑんま堂、そして釘抜き地蔵へと向かうコースがお薦め。これで午前10時から約2時間のコースとなります。街歩きは平野神社の朝10時からの節分祭からスタート!

点図
京都市中心部の北西エリア、北野天満宮周辺は節分の街歩きにピッタリ!

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平野神社、節分祭が始まる。宮司が本殿に入っていく

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宮司さん、手ずから豆まき、今年はムツボシくんもゲット!

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放射の儀。こちらの節分祭には鬼は登場しない。鬼と書かれた的に弓を放つ

[放射の儀動画20秒はこちら]


 寺社の節分行事としては、赤鬼や青鬼が暴れた後に改心する寸劇を見せられることがお決まりですが、鬼が登場しない平野神社の鬼退治は清々しい。矢が放たれる音、息を止めてしまう数秒、そしてピシッと的にささる音。心中の鬼も滅せられる気分になります。

 平野神社は桜の名所。春が来たら尋ねてみては?ぜひ、その時は、本殿の建築様式にも注目。珍しい比翼春日造。見えなくても形を知りたい時は紙粘土を持参すること。同伴の見える人に4殿が横に並ぶこの様式を紙粘土で作ってもらってはどうでしょうか。

 さて、点図の青のラインを歩きます。平野神社の東側の平野通を上へ、廬山寺通で右へ。千本通まで街歩き。この千本通を上がればすぐ千本ゑんま堂です。

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千本ゑんま堂の節分絵、福だるまが並ぶ

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縁日に売られる舌の形のコンニャク(厄除けこんにゃく煮、500円)

 こちらでは強運節分会が行われています。この日は朝日放送のテレビが撮影に来ていました(4月11日に放送予定)。夜には大念仏狂言の奉納と豆まきが行われますが、チケットは前売りで完売とのことでした。

 次に、千本通を下がるとすぐに釘抜き地蔵。こちらの節分会では空海が唐の国から持ち帰った石に自ら彫ったご本尊のお地蔵様が公開されます。何よりうれしいのは焼き芋の接待でしょうか。甘酒もいただけます。

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釘抜き地蔵でも福だるまの授与(700円)

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本格的な石焼き芋の接待に並びます

 さて、ここでお昼。ムツボシくんはこの日の街歩き節分を終了としましたが、元気がまだある人は午後もこのエリアは節分が楽しめます。ただ、この午後の2寺社はわんさと人が集まってきますのでご注意!先の点図に戻って、赤のラインを歩いてみましょう。上七軒の花街にお茶屋が並ぶ様子もおもしろいかも。午後1時からは北野天満宮の追儺式。午後3時からは千本釈迦堂にておかめ福節分会にて厄払いをしてもらえます。いずれも豆まきの他にも、大蔵流茂山千五郎社中や上七軒の芸舞妓の舞踊などが見られます。

 なお、今回持参した点図「北野天満宮周辺図」および「北野天満宮境内図」が必要な方は遠慮なくこちらまでメール連絡ください