第13回 青森の巻 その1 なにも名所旧跡だけが旅の楽しみじゃない!見えなくてもこんなにびっくりと出会える街…。JR青森駅周辺 夏もあとわずかという時に訪れた青森。青森の名所・観光スポットの話は別の巻にすることとして、今回は市内駅周辺でみつけた「こんなにも驚きがいっぱい」という手と耳で集めた町歩きをお届けする。 はやぶさ号からJR新青森駅に降り立ちトイレに案内されてのいきなりのびっくりがこれだ。案内放送を聞いて違和感が広がるばかり…。「男子化粧室はこちら…」と聞こえているではないか。ここ新青森駅2階トイレには、男子が化粧する部屋があるのか? もちろん男子お手洗いのことだが、見慣れないのは私だけ?この「男子化粧室」の表示 続いて、奥羽本線でJR青森駅に…。ここでまたまたのびっくりである。ホームの柱にでっかい真っ赤なリンゴがぶらさがってるではないか。これはなあに?と触っていたら暇していたのか駅員が声をかけてくれた。 JR青森駅5・6番線ホーム。この真っ赤なリンゴはなあに? 赤いリンゴ。「ここをヒッパル」とあるので引っぱってみようとしたら、すぐそばで暇している駅員さんたちに見つかった。 でも、怒られるところか、ちゃんと触らせてくれてわかった。実は、リンゴの中に緊急電話がしのばせてあったのだ。 リンゴの中、業務用の白色の電話機が入っていた。 さて、青森駅を出てみつけたびっくり、まずは町並み編と行こうか。話を聞いて納得 したのだが、さすが雪国…。関西で暮らしてきた私には信号がどこか変である。 交差点の信号機、ランプは赤・黄色・緑と縦に並んでいる。 これも雪国ならでは…。普通はマンホールのようにフタになっている歩道の消火栓、こちらでは1mほどのポールとなっていた。 繁華街・新町通り。ポールの消火栓。電信柱を埋め込んだ歩道にはキャブとよばれる配電装置がある(今年のねぶた祭のポスターが掲示されている)。 この歩道だが、なにげなく歩いていてはいけない。有名なアーティストによるアートがちりばめられているのだ。新町通りを進みすぐに直交するアスパム通りに出て陸奥湾に向かい、歩道に見つけたアートがこれだ。ちなみに、アスパム(ASPM)とは、青森のAを象ったモダンな三角の高層ビル「青森県観光物産館」のことである。 彫刻家 鈴木正治の作品 浦島太郎がモチーフ、作品の上にしゃがんで魚の絵をさわってみた。 駅の方向を振り返ってまたびっくり。滑り台のある公園がこんなに駅近くにある街ってどうよ…?すぐ横が駅ビル「ラビナ」である。 次は民俗編と行こうか。まずは特産品。街歩きで欠かせない楽しみの一つは、その土地土地の工芸品に触れることである。新町通りに見つけたお店「むらた工芸」におじゃましてみた。私も記念に津軽ビードロのビールグラスをゲット。 こちらが新町通りのむらた工芸さん 植物のアケビの蔓細工。編み上げて作られた手提げ籠 これがブナコの楕円形のお盆、ぶな材をテープ状に薄く裁断してコイル巻きにした工芸品。ブナコは洞爺湖サミットで各国首脳へのおみやげとされた。 これが「こぎん刺し」のブックカバー。麻布に昔は貴重だった綿糸で刺繍されている。 こぎん刺しのテーブルセンター。数万円の高級品。 やはり青森といえば津軽塗を忘れてはいけない。この汁椀で数千円。 工芸品を堪能したあとは、「ねぶた」に触れてみよう。ワラッセというねぶたを集めた会館も青森にはある。案内を頼めば係の方が詳しく館内を説明してくれる。毎年のねぶたからコンクールの後、優秀作品を5台選んで1年間こちらで見られるのも面白い。 今年の優秀作ねぶた。作り方も学べる。針金の骨組みに和紙。中には多数のLEDライトを組み込むようだ。 最後はやはり食事の文化でのびっくりを取り上げよう。はじめていただいてびっくりするほどおいしかったのがこれ。「貝焼き味噌」である。帆立の貝殻に貝柱やウニ、ネギなどを入れて味噌味で焼き、たまごとじした一品。この「貝焼き味噌」の素がおみやげ屋さんなどでは売っているくらい、やはりこちらでは人気の定番料理なのだろう。 居酒屋「六兵衛」の貝焼き味噌、なんともおいしい… 唐突だが、みなさんは「朝ラー」をご存じだろうか?な、なんと「朝からラーメン」ということである。青森駅前にこの朝ラーのラーメン屋があるのだ。その名も「長尾中華そば」、うーん、私と同姓とは…。これは素通りできない。朝の散歩中、現在午前7時半、思い切って暖簾をくぐってみたのであった。 こちらが長尾中華そばのお店、この後、10席ほどの店内はなんと満席となったのにもびっくり。 煮干しラーメンの専門店、濃厚煮干しラーメンをいただく、もう少し麺細くてもいいかな… スイーツなら、こちら…。「シュトラウス」というお店である。オーストリア風のケーキがズラッと並ぶ。なによりびっくりが生クリームである。生クリームでこの口溶け感、初めての感触、油感がお口の中に残らない溶け具合がとても新鮮でおいしいのであった。 シュトラウスの「ザッハートルテ」、生クリームをつけてみた。 青森の食といえば、帆立貝。駅前には「帆立小屋」なるお店が建っている。ここには、生きた帆立がガバリと入った水槽がある。釣り竿を借りて帆立釣りができるのである。3分500円。釣れた帆立はその場で調理してもらえる。ただ、やってみたが、これは見えないとけっこう難しい。竿には釣り針がついているだけ。これを帆立の鼻先にちらつかせるというイメージ。すると帆立が口でこの釣り針をパクッとくわえるらしい。しっかりくわえた、と見たら素早く釣り上げるのだ。見えなくても釣り針が何かにひっかかった感はあった。ただ、それが、帆立のくわえた感じなのか、帆立の下側にひっかかっているだけなのかがわからない。予想通り、3分間で釣果はゼロ。でも残念賞として帆立を2つ、お寿司ににぎってもらったのであった。 駅前すぐのこちらが「帆立小屋」 見えないと難しい帆立釣り。でも一度は試してみたい体験である。 青森を去るとき、この地の旅情を締めくくるのにぴったし?なのが陸奥湾で聞く「津軽海峡・冬景色」である。なによりその大音量に最後のびっくり!歌詞碑に近づくだけで突然なり出すさゆり節であった。 「津軽海峡・冬景色」の歌詞碑の前で今回案内いただいた「あおもり街てく」のKさんとお別れ。 旅に出て、何も名所旧跡だけが触りたいのではない。今回の青森市内のぶらり街てく、約3時間ほどの視覚を用いない旅であったが、こんなに狭い空間になんと多くのびっくりが詰め込まれていたことか、なにげないところに意外なびっくりが旅先にはあるものなのだ。 参考サイト:あおもり街てく(青森市観光情報サイト「あおもり案内名人」) http://www.atca.info/sonota/matiteku.html indexに戻る |