ムツボシくんの山城全盲物語
むつぼしくんが飛行機に乗っている画像
2021年4月28日

弱視のみなさん必見!あなたの目が名画を隅々までとらえるかも…?

 ハーイ!ムツボシくんです。今回は「京都府立陶板名画の庭」というミュージアムを紹介します。ここの素敵な点は、(1)屋外なので明るいこと。(2)意外と穴場で人が少ないこと。(3)実物大より大きくどこまでも近づいて鑑賞可能なことです。まさに弱視の方にピッタリの鑑賞環境ですね。

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地下鉄北山駅3番出口すぐ左の陶板名画の庭は屋外ミュージアム


 地下2階まで下がってみました。1430×1309cmに再現されたミケランジェロの「最後の審判」はこんな感じです。これで原寸大のようです。

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「最後の審判」。1枚の大きさが約3m×60cmの陶板が縦5枚×横22枚でした!


 建築家・安藤忠雄の設計です。耳を常にくすぐる滝の音。3階建ての壁に沿って水がほぼ垂直に落ち続けています。

写真3
コンクリートの壁に沿って落ちる滝


 この流が作る池の中にもモネの「睡蓮・朝」(原寸大)が揺らめき、また、他にもレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」(こちらは原寸の2倍)が立っています。ただ、これらは柵から離れており近づくことはできません。

 どこまでも近づけるのは次の4点です。中でもスーラとゴッホは近代美術の技法の一端をあなたの目で確認できるかもです。

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スーラ「ラ・グランド・ジャット島の日曜日の午後」。点描画の一つ一つの点が見える!



写真5 
ゴッホ「糸杉と星の道」。原寸大の2倍だからゴッホの独創的な筆遣いの跡がわかる!


写真6
ルノアール「テラスにて」(原寸大の2倍)


写真7
伝・鳥羽僧正「鳥獣人物戯画」。こちらも原寸大の2倍。巻物を伸ばしたみたいに眺めていけます


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「鳥獣人物戯画」から有名な蛙と兎の相撲場面。こんなに大きく見える


 いかがですか?全盲のムツボシくんにはさすがのこの鑑賞条件でも無理なものは無理なんですが、弱視の方ならきっとこれまでかゆいところがそのままだった名画の隅っこにも、あなたご自身の手が届くかもですよ。

[参考サイト]

○京都府立陶板名画の庭
 http://kyoto-toban-hp.or.jp/
2021年3月25日

ロボットが駅の案内してはりまっせ!(京阪・祇園四条駅)


 ハーイ!ムツボシくんです。先日、こんなニュースが耳に入りました。「ロボットが、駅の案内しはります 京阪、祇園四条駅で実証実験」(京都新聞)。そこで、さっそくこのロボット・ekibo(エキボ)くんにご挨拶に出かけてきました。

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こちらがエキボくん。「こんにちは」のポーズはアゴを突き出してるみたい!


 京阪電車のニュースプレスによりますと、エキボくんに任された役割はこちら!

【実証実験の検証事項】

(1)駅案内ロボットが自らお声がけを行い、お客さまと会話を開始することができるか
(2)駅の雑踏の中でも、お客さまの声を認識し会話が成立するか
(3)お客さまの声により言語や発話内容を判断できるか
の3つのようです。

 エキボくんに近づいてみました。「こんにちは」とかわいい声。エキボくんから話しかけてくれました。立ち去るときにも「いってらっしゃい」みたいな声が聞こえました。(1)の実証実験は成功ですね。

 問題は、(2)と(3)です。会話にチャレンジしてみました。「一番近いトイレはどこ?」「左に行って…を曲がったところです。」こちらもわかりやすい声で説明が返ってきました。ただ、ムツボシくんのような全盲者にはこの案内文ではチンプンカンプンです。まず「左」といわれても何を基準に左なのか?、点字ブロックはついているのかいないのか?この案内通りにトイレをさがしてみようとは思えない文面でした。

 さて、メイン機能の乗り換え案内はどうでしょう?区役所のある地下鉄の駅への路線案内を話しかけてみました。「**駅にはどうやっていくの?」と。するとエキボくんったら、自信たっぷりに「画面をみてください」ですって…!

写真2
そのときのエキボくんの画面がこちら!自社の京阪電車の乗り換え駅しか出ていません。


 うーん、まだまだ全盲者にやさしいものではないようです。何度か乗り換え案内を求めていると、「となりの案内所で尋ねてみてください」というお返事もありました。エキボくん、視覚障害者の立場から言えば、不十分と現状では言わざるを得ません。ニュースプレスによりますと、このエキボは日本信号の登録商標であり、今回の実証実験に協力しているのもあの日本信号さん。日本信号さんとは仙台時代に「ちょっとなあ」という関係のムツボシくん。今後このシステムが視覚障害者にも便利なものとなることを願うばかりですが、現時点では疑問符いっぱいのエキボくんでした。いち早く京阪電車はこのシステム開発に視覚障害社の意見も取り入れてほしいものです。

【参考サイト】

○ムツボシくんと日本信号との関係を知りたい方は→「日本信号株式会社」様への手紙
 http://mutubosikun.boy.jp/monogatari/2015.html#150721

○ロボットが、駅の案内しはります 京阪、祇園四条駅で実証実験(京都新聞)
 https://this.kiji.is/735647639105028096?c=39546741839462401

○京阪電気鉄道株式会社のプレスリリース
 https://www.atpress.ne.jp/news/247590
2021年1月2日

年末につまずくムツボシくん、牛歩ながらも再スタート!

  ハーイ!ムツボシくんです。コロナの2020年、ムツボシくんにも大きなつまずきの年となっちゃいました。

【ホームページ・ダウンと再スタートのご案内】 

 これまでお世話になっていた宮城教育大学のサーバーが使用できなくなり、年末1ヶ月間はずっとアクセス不能となっちゃいました。ここにようやくムツボシくんも復活することができました。突然のアクセス不可に、ご迷惑をおかけした方もあったことでしょう。お詫び申し上げます。こちらとしてもみなさんには、事前に「移転のご案内」をすることもできず、やきもきしていたところです。

●2021年再スタートのムツボシくんの新アドレス(URL)はこちらです!!

http://mutubosikun.boy.jp/

【真っ白になった京都検定1級受験】 

 全盲者の1級受験は主催者側も初めて!そこで、話し合いを重ねた結果、画面読み上げソフト導入済みのパソコンで解答を作成する方法で主催者と一致。12月13日、寒い日曜日となった当日、ムツボシくんはヘルパーとともに、いさんで出かけました。このヘルパーが問題文を読み上げる係も勤めるのです。そこんところは、とてもイレギュラーな視覚障害者への受験対応ではありますが、全盲者受験の現時点の到達点でした。

 ラッキー!なんと、仕込んできた問題もいくつか出題されているじゃありませんか。ムツボシくんとしてはシメシメ…。もしや合格も夢ではないかも…!?全国ニュースになっていた、秀吉の最後のお城・京都新城関連問題も出ました。全問記述式、全63問。うち61問からの3問は200文字以内での論述式です。

 さて、試験も終盤、ラスト2問にさしかかっていました。

 そして、そして…。気付いたら画面が真っ白になっていました。すべて消えていたのでありました。

 あわてました、ひさしぶりに…。

 すぐに復活や「前に戻る」をしたのですが、画面はよみがえることもなく、泣く泣くあきらめました。

 原因は、後から考えたら当然ムツボシくんの操作ミス。ショートカットキーを多用して文章を書いていくのですが、切り貼りや範囲指定しての削除や復活などを繰り返しているうちに、どこかで、左手小指の操作をあやまったのでしょうね。いつしか、ctrl+z と ctrl+a などを使い間違えて、デリートしていたのでしょう。

 ただ、いつもなら、こんなことがあっても、バックファイルをさがしたり、それこそ、前の状態に戻るために ctrl+z で復活できていました。それがそれが、この日に限ってもとに戻りません。。

 しばらくして原因に気づきました。

 そうなんです。当日、会場でパソコンをセッティングしているときに、マイエディット(音声対応のエディターソフト)の文書保存フォルダを主催者指定のUSBに固定したりしていて、ふと、気づいたことがあったのです。「自動保存」の機能がこのソフトにあったことに…。これが、そもそもの間違いだったのでした。

 「しめしめ、自動保存、なんていい響きでしょう。」だって ctrl+s を自分で押さなくてもかってに指定した時間ごとに上書き保存をしてくれる機能なんですよ。解答作成をする今のムツボシくんには最適・最強の機能じゃありませんか?そこで、「マイエディットくん、マメに保存してくれよ」っとばかりに「5秒たてば自動保存」に設定しちゃったのでした。

 解答も快調にすすみ、そして、第62問目にさしかかったのでした。いよいよあと2問というところでです。悲劇が起きたのでした。うっかりで、画面の全削除が起きていたことも知らず、62問目の解答を書いていて気づいたのでした。画面が真っ白ということに…。マイエディットくんときたら、全削除された画面を自動保存、そう、なにもない画面を自動保存、ムツボシくんの涙も5秒たって自動保存…。この顛末に翌日も布団からぬけ出せなかったムツボシくんでありました。

写真1
義理と見栄で買っちゃったホールケーキ。スプーン一本喰いのクリボッチ・ムツボシくん!