第2章 七五調で覚える分かち書き法則週 《必須暗記法則ベスト20》
【法則1. 助詞・助動詞とは顔馴染みにね】
《解説》 ‘ぼちぼちかいでこそてんじがつづけられそうです’ この文を法則1を利用して分かち書きしてみましょう。この文に出てくる助詞と助動詞を下の表から、まず探してみましょう。そして、見つけたら、その助詞や助動詞の後ろをマスあけしたらOKということになります。 「で」と「こそ」と「が」の3つが助詞の仲間、「られ」と「そう」と「です」の3つが助動詞の仲間にありましたか。これらの助詞・助動詞の後ろをマスあけするのですから、分かち書きはこうなります。(白抜き四角記号□の箇所がマスあけ箇所です) ‘ぼちぼちかいでこそ□てんじが□つづけられそうです’ 《注意》 〔助詞・助動詞が連続したらどうするの?〕 助詞や助動詞が続いて出てくることもよくあります。この場合は、助詞・助動詞の後ろをマスあけしようとしても、また続けて後ろに助詞・助動詞がきているのですから、あけるわけにはいきません。後ろに連続している助詞・助動詞がなくなった時点ではじめてマスあけとなります。上の文では、「でこそ」というところが助詞が2つ連続しています。また、「られそうです」のところは助動詞が3つ連続していました。このように、助詞・助動詞の後ろをマスあけしようとしても、後ろにまだ助詞や助動詞が続く場合は、連続するすべての助詞・助動詞がおわった時点ではじめてマスあけとなるのです。ご注意下さい。
例) マスあけは助詞・助動詞のあとでする 〔注意: カタカナ部分は助詞と助動詞、下線個所が助動詞〕 (1) 机の上の彼からの手紙が寂しそうに色あせました。 (点訳文)→ つくえノ□うえノ□かれカラノ□てがみガ□さびしソーニ□いろあせマシタ。 (2) 自分さえがよければいいとはおもいませんか。 (点訳文)→ じぶんサエガ□よケレバ□いいトワ□おもいマセンカ。 (3) 彼女は風のように生きたいというのでした。 (点訳文)→ かのじょワ□かぜノヨーニ□いきタイト□いうノデシタ。 (4) 暑いけれど若いのだから我慢しましょう。 (点訳文)→ あついケレド□わかいノダカラ□がまん□しマショー。 (5) あれくらいにぶいんだから、嫌われてるみたいだなんて気づかないでしょうねえ。 (点訳文)→ あれクライ□にぶいんダカラ□きらわれてるミタイダナンテ□きづかナイデショーネエ。 【法則2. 長音符を使うとき】
《解説》 〔長音符を使う場所〕 点字では基本的には漢字はありません。よって、漢字に仮名でふりがながうてないと点訳はできません。ふりがなをうつ時に悩むのがのばす音(長音)の仮名表記です。そして、その長音箇所のふりがなに、「う」またはカタカナ語では「ー(ここではぼうと読む)」がくる箇所に限り、点字では長音符の 2・5 の点を用います。 〔辞典を必ず用意〕 では、下の例語を自分でも仮名にしてみましょう。仮名にする時には必ず国語辞典や漢和辞典を手元に置き、その見出し語の表記通りに仮名になおしましょう。絶対に辞典を引く手間を惜しんで思いこみでしてはいけません。( )内が仮名表記です。その仮名のカタカナ部分がその例語の長音の箇所です。この長音箇所が「う」もしくは「ー」の時だけ、その箇所を点字で書くときは、長音符 2・5 の点を用いるのです。仮名通りに、「う」を書いてはいけないのです。 また、長音箇所を‘仮名にして、「う」と「ー」なら長音符’ですが、それ以外ならどう書くのでしょう。悩むことはありません。「う」と「ー」以外の「あ」「い」「え」「お」なら、その仮名表記通りに「あ」「い」「え」「お」を書けばいいのです。 例) 矢印の先の文字が、長音箇所に用いる文字です。 通り道(とオりみち→オ) 大津(おオつ→オ) 近江(おウみ→長音符) 八日市(よウかいち→長音符) 十日(とオか→オ) 王様(おウさま→長音符) お母さん(おかアさん→ア) お兄さん(おにイさん→イ) お父さん(おとウさん→長音符) お姉さん(おねエさん→エ) 頬(ほオ→オ) ケーキ(カタカナの長音はすべて長音符) 《注意》 〔動詞の語尾は例外〕 ただし、いくら長音箇所に思えても動詞の語尾の「う」は例外です。従って動詞の語尾には長音符は用いません。ただし、助動詞の語尾の「う」は長音符でかまいません。 例1) 動詞の語尾(カタカナ部分)は、例外だから「う」を書くこと。 思う(おもウ→ウ) 言う(いウ→ウ) 食う(くウ→ウ 縫う(ぬウ→ウ) 救う(すくウ→ウ) 結う(ゆウ→ウ) 吸う(すウ→ウ) 問う(とウ→ウ) 例2) 助動詞の語尾(カタカナ部分)の「う」は、動詞じゃないから長音符。 〜だろウ(→長音符) 〜でしょウ(→長音符) 〜しよウ(→長音符) 歩こウ(→長音符) 【法則3. 数字を数符で表わすとき】
《解説》 〔数字の箇所に違う数を入れてみる〕 点字では、数字を含むことばの書き方として、数符を用いる書き方と仮名で表す書き方の2種類を使い分けることで表現力をつけようとしています。このどちらの書き方を使うかの調べ方は、原文の数字の箇所に、違う数を入れてみます。そして、違う数に置き換えても意味が成り立つ場合は、その数字箇所を数符を用いた表記とするのです。例えば、「一杯」という語を含む文を考えてみましょう。 ア.‘残りの水はコップ一杯だけだ’ イ.‘一杯あそんだね’ では、どちらが数字の箇所を違う数字、例えば「二杯」に置き換えられるでしょう。そうです。アの文ですね。従って、アの文は数符で「1ぱい」と書き、イは仮名で「いっぱい」と書くことになるのです。 〔置き換え不可能でも数字の意味が強ければ数符〕 違う数で置き換えられなくても、その数字の箇所が数字の意味を強くもっていれば数符での表記とする場合があります。「世界一」や「一大事件」などの「一」がそれにあたります。これらは「世界二」とか「二大事件」とはあまりいいませんが、「一」が数字の意味を表していることには変わりありませんので、数符で書かれます。 《注意》 〔必ず仮名で書く数字 BEST5〕 (1) 人名 … 三郎→サブロー、一太郎→イチタロー (2) 地名 … 近江八幡→オーミ□ハチマン、四国→シコク (3) 和語読みの日付 … 一日(ツイタチ)〜十日(トオカ)、二十日(ハツカ) (4) 和語読みの数え方 … 一つ(ヒトツ)〜十(トオ)、二人→フタリ (5) 数字の位読み … 数千→スーセン、何百倍→ナンビャクバイ 例) 数字の箇所、数符にしますか、仮名にしますか 一番目(数符) 一番美しい(仮名) 十字路(仮名) 一般的(仮名) もう一度(数字) 一族(仮名) 七面鳥(仮名) 六本木(仮名) 七味とうがらし(数符) 二束三文(数符) 三角(数符) 四角い(仮名) ★表記辞典へ★ 悩んでも無駄!次の場合は表記辞典を引きましょう。 ア.数符か仮名か迷ったとき イ.四字熟語の漢数字 ※この他、表記辞典が必要となるケースについては 法則Xを参照。 【法則4. 「〜する」を続けるとき】
《解説》 〔「する」をサ変動詞といいます〕 日本語には、名詞に「する」をつけてできた複合動詞がたくさんあります。特に漢熟語にはよく「する」がつきます。‘学習+する’‘感動+する’などですね。そう‘点訳+する’というのもありますね。この「する」のことを「サ変動詞」ともいいます。そして、このサ変動詞「する」がくっつく時は、ふつうは「する」の前を区切って書きます。区切るのがふつうと覚えましょう。ただ、何でも例外というのはあるもので、ここでは、「する」がついているにもかかわらず、区切って書く例外4パターンを覚えましょう。 〔こんな時だけ続けて書く「〜する」の4パターン〔
(1) 連濁を起こした「ずる」の場合は続ける。 例) 応ずる 生ずる 論ずる 命ずる 信ずる (2) 「〜っする」とか「〜んずる」などのように音韻変化をおこしている「する」の場合は続ける。 例) (〜っする)… 発する 決する 罰する 達する 接する 失する (〜んずる)… 軽んずる 重んずる 疎んずる (3) サ変動詞の「する」ではなくて、語段活用の「する」と考えられる場合の「する」は続ける。この見分け方は、「する」の前の語句に「〜さない」をつけてみましょう。「…さない」という言い方が存在するような場合は、サ変動詞の「する」ではなくて、五段活用の「する」という動詞がついていると判断できます。これは‘さない’形がいけるということで、「する」をはな‘さない’のです。‘さない’がいけたら、「する」もはな‘さない’と覚えましょう。 例) 愛する 訳する 略する 適する (4) 自立性の弱い1語漢語に「する」が続くものの場合は続ける。 例) 関する 反する 抗する 比する 労する 有する 《注意》 〔「する」は活用して七変化〕 「〜する」は活用したり、助動詞がついたりして、次のように七色の顔をもつので注意が必要です。どんなに活用して変装しても「する」は「する」ですので、だまされることなくみやぶって、「する」に関する法則4を適用しちゃいましょう。 次のように、「する」はサ行の「さしすせ」に変化しますので、サ変動 詞と呼ばれているのです。
【法則5. アルファベットが入ってきたとき】
《解説》 〔外字符と外国語引用符の使い分け〕 文字や略称なら外字符(5.6 の点)、英単語や英文なら外国語引用符(2.3.6 の点と3.5.6 の点で囲む)を使います。外字符と外国語引用符の両方を同じ個所に使うことはできません。この場合、外字符を用いて書かれた箇所はまだ日本語の一部とみなされますが、外国語引用符の中は、完全な外国語モードとみなされます。従って、外国語引用符の中で使える記号類は、日本文で使っているものは使えませんので注意してください。 また、アルファベットは原文の通り書きましょう。特に、大文字小文字の区別を点訳者の判断で省略しないようにしましょう。 《注意》 〔疑問符の使い分け〕 日本語では疑問符は、2・6 の点ですが、外国語引用符の中では、これは使えません。この中では英文でもちいる疑問符 2・3・6 の点を用いなければなりません。日本語と英語で疑問符に違いがあることに注意しましょう。 例) 外字符と外国語引用符の使い分け ●外字符で書く場合 … CD□プレーヤ TV□放送 SF□小説 NHK IBM ●引用符で書く場合 … happy(英単語) Do you love me?(英文) 【法則6. アルファベットの後ろがくっつく例外】
《解説》 〔アルファベットの後ろが続く方が例外〕 普通、アルファベットが出てきたら、その後ろが助詞であろうが助動詞であろうが絶対にひとマスあけなければなりません。しかし、続いてもいいものが例外的にあります。それが囲い類です。したがって、覚え方も囲い類は続いてもいいので、「カッコいい」となります。でも、ひとつだけ注意しましょう。囲いには開きと閉じがありますね。外字符の後ろなら、囲い記号は開きも閉じも両方つつけてかくことができますが、外国語引用符の場合は、閉じ囲い記号のみ続けて書いてもOKとなっており、開き記号は続けられません。引用符の後ろで新しく開き記号を用いる時は、ひとマスあける必要があります。 《注意》 〔アルファベット+仮名で1語ができている場合〕 アルファベットの後ろは絶対にひとマスあけますといいましたが、アルファベットと仮名が組合わさってひとつの語ができている場合はどうしたらいいでしょう。例えば、‘SF的’というような語の場合です。もちろん原則通りに‘SF’と書いた後はひとマスあけてから‘てき’と書かなければなりません。でも、それでは‘SF的’という1語とはなりませんね。そこで、苦肉の策として、あけなければならないけどあけたくない場合の手段として、‘SF’の後ろに第1つなぎ符(3・6 の点)を入れて書くことにしています。この方法は、あくまで‘アルファベット+仮名で1語をつくっている場合’に適応されるものです。反対に‘仮名+アルファベットでできた1語’には適用してはいけません。 例) アルファベットの後ろの処理 ●外字府を用いた語の後ろ ア. 65kgだよ (点訳文)→ 数符65外字符ナレ□ダヨ(「だよ」は助詞でも続かない、くっつきたいけど前がアルファベットだからがまんがまん) イ.単位(cc)に統一 (点訳文)→ タンイ(外字符ウウ)ニ□トーイツ(カッコはいいんだったよね、カッコでとじたら、その時点でそれ以降はふつうの日本文モードに戻れるから、助詞の「に」も続けてかまわない) ●外国語引用符の後ろ ア.Tomだ (点訳文)→ 引用符開き 大文字符トタヌ□ダ 引用符閉じ(助詞でも続けない) イ.「Tom」とよぶ (点訳文)→ 「引用符開き 大文字符トタヌ 引用符閉じ」ト□ヨブ(閉じカギは続く) ウ.braille(点字) (点訳文)→ 引用符開き イチアオニニラ 引用符閉じ□(テンジ) (引用符の後ろでは、開きカッコは続けない) ●アルファベット+仮名の1語(つなぎ符は_で表記) ア.つなぎ符が必要 … SF_テキ GIFT_ケン イ.つなぎ符は不必要 … 凡PLAY、オバQ(これらは、アルファベット+仮名ではなく、仮名+アルファベットだから、つなぎ符は不必要なのだ) 【法則7. 外字符の語中のハイフン(−)の後ろは】
《解説》 〔ハイフンの直後にも外字符をつけなおそう〕 ハイフンでつながれた2つ以上の略称では、先頭に外字符が必要なのはもちろんですが、ハイフンの後ろにも外字符をもう一度前置することとにしましょう。この場合、ハイフンは第1つなぎ符(3・6 の点、ここでの表記は「_」)を書きます。 例) MS−DOS (点訳文)→ 外字符 二重大文字符 ヌノ_外字符 二重大文字符ルタノ 【法則8. 外字符の語注の斜線(/)の後ろは】
《解説》 〔斜線(スラッシュ)の後ろは外字符は略せます〕 斜線(スラッシュ)がはさまった2つ以上の略称に限り、先頭にのみ外字符をつけるだけでよいのです。「/」記号の直後にもう一度外字符をつけなおす必要はありません。これは、ハイフンが出てきた時の対応とは違いますので区別して覚えましょう。なお、斜線(スラッシュ)の記号はは「ヤ」の文字を用います。 例) DOS/V (点訳文)→ 外字符 二重大文字符ルタノヤ大文字符ヒ 【法則9. インターネットなどのアドレスの書き方は】
《解説》 〔アドレスには情報点字の挿入符を〕 ホームページやメールアドレスは、情報処理用点字の囲み符号(情報処理用点字挿入符)で囲むことにします。開き記号は、6 の点+2・3・6 の点です。閉じ記号は、6 の点+3・5・6 の点です。つまり日本文でよく使う囲み記号類のように開き記号と閉じ記号は左右対称形をしてませんので注意してください。この囲みの扱いは外国語引用符と同じとなります。
《注意》 〔行継続符は4 の点〕 1行に入らない時はどこで行を移すのかについては明記されてませんが、ドット(ピリオド)やスラッシュの切れ目までを書き、それ以降は2行目にまわすことを標準とします。またメールアドレスの「@」はその前でくぎることを標準とします。その際、2行目の先頭には4の点(行継続符)をつけることにします。 《注意》 〔数字の後ろで小文字フラグ(5・6の点)が必要な場合〕 @数字の後ろにすぐa〜jが続く場合 A数字の後ろのピリオドに続くa〜jの場合 ※数字の後ろに、「/ // ~ _ @ - : ; ! ? # $ \ % & * + =」などの特殊記号や「..」のダブルピリオドがくれば、そこで数字フラグの効力はきれます。よって、これ以降は小文字フラグ状態に自然ともどることとなります。 【法則10. 「〜て、〜で」ときたら】
《解説》 〔手切れの‘〜て、〜で’〕 日本語では、よく「〜て」とか「〜で」のあとに短い「ある」とか「いる」とか「みる」などの補助用言とよばれるものがくっついています。でも、これらの補助用言は短いため、つい続けて書いてしまいます。続けてはいけないのです。気をつけましょう。‘〜て、〜で’ときたら、はたと止まってそこでマスあけという習慣をつけましょう。 例) 短いからといって続けて書いたらバツ 〜て□いる 〜で□ある 〜て□みる 〜て□しまう 〜て□おく 〜で□あげる 〜て□やる 〜て□ほしい |